7/31(金)に渋谷の漫画サロン「トリガー」にて裏サンデーのトークイベントが開催されました。その名も「裏サン編集部分室@トリガー」。ゲストは「モブサイコ100」のONE先生「懲役339年」の伊勢ともか先生、そして裏サンデー編集長の石橋和章氏
後日ニコニコ生放送で当日のトークの様子を編集したものが放送されました。本記事はその放送の内容から、気になった話題や印象に残った場面などをダイジェストで編集したものです。記事をまとめるにあたって、多少の脚色・省略等がありますのでご了承ください。

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 さてそれでは本編。

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出演者は左から漫画サロン「トリガー」発起人小林琢磨氏、「懲役339年」作者伊勢ともか先生、「モブサイコ100」作者ONE先生、裏サンデー編集長石橋和章氏。
※以下会話文では小林氏=小伊勢先生=伊ONE先生=O石橋編集長=石で表記

トークはパネルディスカッション形式。予め用意された9つのテーマ(新連載・収入・アイデア・MangaONE・読者・編集者・プロとアマ・ヒット・打ち合わせ)から一つ選び、それについて話をしていくという流れです。

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最初のトークテーマを選択するのは石橋編集長。「プロとアマ」を選択・・・したのですが、小林さんの「MangaONEからじゃなくていいんですか!?」の一言で、「MangaONE」に決定。
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 MangaONEは先日100万ダウンロードを突破(収録時既に110万を突破していたそうです)。TVCMなどの宣伝をほとんど行っていないにもかかわらずこの数字はかなりのものらしいです。ONE・伊勢ともか両先生もMangaONEはりようされているそうで、伊勢先生は課金をして「ウシジマくん」とかを読んだりされているとか。また石橋編集長によれば、投票数が妙に膨らんだ時期は伊勢先生のお父上が結構投票しておられたそうで・・・。

 現在はMangaONE以外にも様々な電子書籍が隆盛しています。MangaONEのコンセプトとしては、「電子の媒体を売るのではなく体験を売る」だそうで、ものとして持っておきたい人は紙媒体で単行本を買い、手元にいつでも見られる形で置いておきたい人は電子書籍で買う。でも単行本や電子書籍を買ったりはしないけど1回だけ読みたい作品がある・・・そういったケースのために、MangaONEはライフ制を採用されているのだとか。
「モブサイコ100」を始めとした現在連載中の作品以外にも、過去サンデー本誌や小学館系雑誌で連載されていた作品なども「全巻一気読み」で登場しており、「うしおととら」や「GS美神」などのヒット作品を(作品によっては期間限定で)読むことが出来ます。読んでみたい過去の作品を両先生に聞いたところ、ONE先生は「今日から俺は!!」、伊勢先生は「めぞん一刻」を挙げられました。このへんの作品もいつかMangaONEで読むことができるようになるのでしょうか?楽しみです。
 因みに小林氏によればここ「トリガー」「知らない漫画に出会える場所」がコンセプト。「トリガー」には沢山の漫画単行本が置いてあるのですが、いずれも3巻まで。そこまで読んで面白かったら続きは買ってください、という導入のためのシステムになっています。現在漫画業界はちょっと斜陽になっているらしく、コミックスの売上は落ちているのだとか。しかし漫画が刊行される数は増えており、月に1000冊もの新刊が出ているのです。そんな膨大な数の漫画をプロモーションするために立ち上げられたのが「トリガー」。「マンガコンシェルジュ」がお客さんの好みにあった作品を選んでおすすめしてくれるそうですので、新しい漫画に出会いたいという方は是非訪れてみてはいかがでしょうか。

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 次のテーマを選択したのはONE先生。選ばれたのは「新連載」

小「ONE先生、新連載するんですか?」
O「いやそういうわけじゃないです(笑)」

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 はい、新連載といえば、6月に完結を迎えた「懲役339年」の作者、伊勢ともか先生。その先生の次回作が既に始動しているということです。話の方向性やテーマも決まっている状態。
そもそも伊勢先生は「懲役339年」が初連載、しかも漫画を書くこと自体それが2回めだったとか。石橋編集長によれば裏サンデーは連載のハードルはどこの出版社より低く、普通なら出版社に持ち込みをしたり読み切りを書いたり何度も打ち合わせをしたり・・・という手順を踏んで連載が決まるところを、伊勢先生のばあいは「連載投稿トーナメント」で優勝が決まって数カ月後には連載開始、また数カ月後には単行本が出るといった感じ。かといってアマチュア扱いではなく、本誌サンデーと変わらない待遇が受けられるんだそうです。

 さて新連載の内容について。舞台は、東京拘置所の死刑場から。小林・石橋両氏から「また刑務所」と突っ込まれていますが、刑務所は最初だけで、監獄ものというわけではないようです。前作「懲役339年」はヨーロッパ風の架空の国を舞台にしていましたが、今回は日本が舞台。伊勢先生の得意分野であるオカルトをテーマに、ファンタジーや恋愛要素も含みいろいろな要素を含んだ結構な大作になるということです。

小「話せる範囲で冒頭を・・・ネームはさすがにないと思うんですけど」
石「・・・あれ?(意味深なフリ)」
伊「え だってみ・・・ダメでしょ」
小「わーみたいなー」
伊「一応持ってきてますけど・・・」
小「みなさんみたいですよねー?」
会場拍手

そんな流れで、新担当編集からネームの入ったバッグが伊勢先生に手渡されました。

石「ONEさんに読んでもらいます?」
小「それONE先生の無駄遣いですから!」

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そしてネーム公開!画面では殆ど見えませんが。会場にいた方は、連載前のネームを見られる、非常に貴重な機会に巡り会えましたね。

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O「(ネームを手にとって)こんなに丁寧に書き込みますか?」

伊「いつももっと雑なんですけど、最初だから」
O「わかりやすく」
伊「そうそう」
小「ONE先生はどのくらい書き込むんですか?」
O「いやもう建物とか豆腐みたいな・・・」
会場笑

気になる連載開始時期に関しては、だということです。

小「大丈夫ですか、秋いけますか?」
石「秋って広いですから」
O「秋って毎年ありますから」
小「それ利根川じゃないすか!」
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ここで発売直前ということで、「懲役339年」最終巻となる第4巻のPR。小林氏もマンガコンシェルジュとしてトリガーを訪れた方に懲役339年を結構おすすめしたりしているそうで、懲役について色々語り始めたタイミングで・・・
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ざわめく会場。ONE先生のモブサイコ100の新刊も横から登場しました。

伊「懲役の話・・・」
小「担当編集が邪魔しましたよね!」
伊「やっぱ全員ONEさん派なんですね」

話の腰を折られ、ちょっとテンションが下がっちゃう伊勢先生。

この流れでちょっと挙手タイム。普段裏サンデーを読んでいるかや、今回のイベントをどこで知ったのかなどを質問されました。ONE先生のファンのかた挙手!の時は全員の手が挙がり、
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どかっと腕と足を組んで座る伊勢先生。

小「座り方が、ちょっと・・・大丈夫ですか!?」
会場笑

ポンポンと伊勢先生をなだめる石橋編集長。

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さて次のテーマは伊勢先生の選択した「収入」です。
モブサイコ100だけでなく、ワンパンマンの原作もつとめられているONE先生の収入についてはみなさんやはり気になるところ。
石「ONEさんのは半分知らないですけど・・・」
小「東京ドームで言うと何個分ぐらいですか?」
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O「ちょっとわかんないですね」
小「西武ドームでいうと・・・」
石「やめましょう(笑)多分ひくぐらいあると思うんで」
O「そんなことないっす」
小「でも夢があっていいですよね」

最初のMangaONEがテーマの時話題に出たように、漫画の発行部数は減っていっているのが現状。仕事がなかなか収入に結びつかない漫画家が増えると、漫画家を目指す人が減ってしまって、相対的に面白い作品が少なくなってしまう。ONE先生のように稼ぐ漫画家がでてくれば、それに憧れて漫画家を志し、将来第2・第3のONE先生が生まれるかもしれない。・・・なので「このぐらい稼いでるぜ!って発表してください!」と小林氏がフリましたが、ONE先生は「ネットで調べると印税率とか部数とかわかるので掛け算してください」ということでした。
伊勢先生はまだ大学を卒業したばかりですが、同年代に比べると全然しっかり稼がれているとは石橋編集長の談。実際ご本人曰く、多少の贅沢ができる余裕がある程度には収入があるそうです。
裏サンデーは本誌サンデーと変わらない待遇であると上述しましたが、さらにMangaONEでは実績に応じてボーナスがもらえるそうです。通常紙媒体の漫画では単行本の売上が芳しくない作品は連載が続かず打ち切りになってしまいましたが、MangaONEでは課金システムを採用しているため”単行本は買わないけど読みたい漫画”が連載を継続できる環境が整っており、そのおかげで連載作品の多様性が維持される仕組みになっているのです。

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 次のトークテーマは「アイデア」。先生方はどうやってストーリーやキャラクターなどのアイデアを出しているのでしょうか?
 ONE先生はストーリーの前に主人公から作っていく方式。モブサイコの場合、それ以前に漫画賞に出そうと思っていた作品の主人公が、今の霊幻新隆の原型だったのだとか。しかし執筆中に仕事の話をもらったので、その作品自体は未完になったようなのですが、霊幻のキャラクターは面白いので使いたいという考えがあったそうです。新連載のネタを決めるにあたって、連載ものとして続けていくならワンパンマンのサイタマのように精神的にタフなキャラクターではなく、中学生のように悩みを抱えたブレながらも頑張っていく話が書きたい・・・そうすれば主人公を利用するために色々嘘を吹き込んだりして、主人公を揺さぶるキャラとして霊幻が使える・・・そこで考えだされたのがモブサイコ100の主人公モブ。ものすごい超能力を持ってはいるけど要領よく使うことの出来ない、ちょっとかっこ悪いキャラクター。
主人公の設定が固まったら、今度はストーリー。ONE先生は最初に最終回を考えてしまうそうです。やはりいちばん盛り上がるのはクライマックス。その部分を考えるのが一番楽しい。こういうクライマックスはカッコイイな、と思った所に向かえるように、ストーリーを作っていく。ただし実際に書き進めていった結果、最初に考えた最終回に辿り着くかどうかはわからない。事実、現時点でモブサイコは当初予定していた最終回とはちょっと違う方向に向かっているようです。

O「一番最初は・・・あ、言わないほうがいいですか?」
石「(小声で)爆発して終わりって話・・・」
O「ああそう・・・ですね。まあ言わないほうが・・・」
石「言わないほうがいいですね(笑)」

因みにモブサイコ100といえば主人公・モブの感情が高まって100%になると爆発するといった特徴がありますが、構想段階でONE先生は何巻も溜めを作ってから爆発させる予定だったとか。実際には1巻のうちに爆発しています。ONE先生が長い溜めを作ろうという考えに至ったのは、HPでの無料WEB漫画連載の経験から。無料のWEB漫画なら、クライマックスが面白くて話題になれば、それをきっかけに興味をもった人がいつでも最初から読み返すことが出来ます。しかし商業誌ではそれができません。例えば15巻でモブが爆発してそれが話題になっても、既刊14巻を買い揃えて読み返す人がどれだけいるかというと・・・やはりすこし厳しいものがあります。モブが現在連載されているような頻度で100%になるようになったのは石橋編集長の案。
石「僕が1巻のうちに100になるように作ってくださいとお願いしました!」
裏サンデー創設当時は、そもそも連載がモブの感情が爆発するまで続けられるかもわからない状況。何回か100%になるようにと言った案は、読者視点からしても英断だったと思います。

伊勢ともか先生は、書き始めた時点でラストはあまり考えていないとのこと。「懲役339年」に関しても、1巻のラストシーンくらいまでは構想があったそうなのですが、それ以降は考えながら書いていたんだそうです。ただ最終巻のラストシーンのように、339年経って完結する、というビジョンは持っていたということです。

両先生にアイデアが浮かぶ瞬間はどういった時かという質問がされました。
ONE先生は興味が無いニュースなどを見てボーっとしている時。また浮かんだアイデアはアイデアノートにきちんと書き込んであるそう。中には意味の分からないメモが書かれていたりとか・・・
小「話せる範囲で、使わなかったけど書いてて面白かった言葉とかってあったりします?」
O「えー、なんだっけ・・・なんとかトリバネアゲハっていう虫の名前が書いてあって
 多分でっかい蛾かなんかの名前なんですけど」

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伊「アレクサンドラトリバネアゲハ・・・」
1参考・Wikipediaより
O「あ、多分それかもしれないですね」
蛾に詳しい伊勢ともか先生。
O「それメモってあったんですけど、何に使うかわかんない」
会場笑
O「こういう台詞おもしろいかもなと思ってメモったりしてるんですけど、
『大丈夫かお前、ゴブリンシャークみたいな顔してるぞ』っていうのがあって・・・
絶対使わないだろ、っていう」

会場笑
800px-Mistukurina_owstoni_museum_victoria_-_head_detail参考・Wikipediaより

ONE先生こういうの好きなんですかね。オジロスナギツネとか。

伊勢先生は、ボーっとしている時よりも人と話している時にアイデアが浮かぶそう。
伊「人の悪口言ってる時とか・・・」
小「好感度!」
裏サンデー掲載のおまけ漫画でも見ることが出来ますが、「懲役339年」のアイデアも人の悪口を言っている時に思いついたもの。
伊勢「その友達は悪口をいわれてもしょうがない悪いやつなんですけど、
大学の同級生で28歳の自称ミュージシャンで今はボカロPをやってる、
TwitterのIDがり・・・」

小「それぇそこまで言わないほうがー!」
簡単に内容を要約すると、TwitterIDから「輪廻君」と呼ばれている友人の、女性に対するセクハラが酷いと他の数人の友人と話していた時のこと。そういうことする奴はアメリカみたいに懲役200年の刑とかで刑務所に閉じ込めちゃえばいい――でも「輪廻君」だから、獄中死したら刑期を全うせずに出てきちゃう――じゃあ生まれ変わった赤ん坊を捕まえなきゃいけないね――あれ、これって漫画のネタに使えるんじゃない?こんな感じです。
伊「輪廻君ありがとうございます」
小「なんかいい話なのかどうなのか・・・」
今立ち上げられている新連載も、編集者とのやりとりの中で内容を練っている段階で、結局関係なくなってしまった話の中からも使える要素を拾い上げていって、自分に合ったものを作っていくというやりかたで進められています。

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 トークテーマが変わって「打ち合わせ」へ。裏サンデーの打ち合わせはどんな感じなのでしょうか。
石橋編集長が言うには、編集者と漫画家の相性はとても大事で、10人づついれば100通りの組み合わせができ、これが正解というのはあまり無いのだそう。故に打ち合わせのかたちも様々あり、例えば裏サンデーで連載中の格闘漫画「ケンガンアシュラ」の作者、サンドロヴィッチ・ヤバ子先生は格闘技経験者で、その担当編集者も格闘家。なんと会議室で実際に寝技を掛け合いながら打ち合わせをするんだそうです。

小「マンガの打ち合わせですよね!?」
石「たまに会議室開けると『あ、ゴメン』みたいな・・・」

石橋編集長の場合、作者にアイデアを出させる、いい意味で追い込む手法をとっているのだそうです。作者を作品のキャラクターに没入させる――主人公になりきるところから始めてもらい、”主人公の隣にいる人は誰か””主人公はその時何をしているか”と質問し、それを作家さんに答えてもらって作っていく。アイデアを考えさせるというよりは、アイデアが降ってくるように仕向けるというのが、今まで編集者をやってきて一番理にかなっているかな、と。

小「実際裏サンデーの編集さんと打ち合わせしてどうですか?」
O「裏サンデーの方は皆すごい明るいっていうか、いい意味でフランクなんじゃないかな」

編集者と漫画家で一緒になって作っていこうというのが裏サンデー。だからアット・ホームな雰囲気なんですかね。石橋氏がまだ別の会社で働いていた新人時代、その会社にはあまり漫画の持ち込みなどは来なかったそうです。自分は早く担当する作家さんを手に入れたい・・・でも新入りの編集者には担当させてくれないし紹介もしてくれない。どうしようかと考えて目をつけたのがWEB漫画。石橋氏はまだ世間でWEB漫画の認知度が低かった時代(2001頃)からWEB漫画を結構読み込んでおられたそうで、WCR(ウェブコミックランキング)を見て1位の作家さんに声をかけて会社にネームを出して・・・ということをやっておられたそうです。ONE先生にもかなり早い段階で声をかけられていて、ONE先生がまだ埼玉在住だった時、大宮まで出向いて直接話をしに言ったほど。ワンパンマンは新都団(となジャン版で言う桃源団)が出てきたあたりから読んでいたらしく、就職のために休載するという知らせを読んでショックを受けられたとか(これは当時多くのワンパンマン読者が同じ気持だったでしょう・・・勿論私も)。どうしても個人的に続きが読みたかった石橋氏は、編集部にお金を出させて続きを書かせようとしましたが、さすがにその時は通らず。ならば編集としての実績を上げて、その上でもう一度ONE先生に声をかけよう・・・と思っていたら、その頃にはワンパンマンの人気が出すぎていて、既に他の出版社が声をかけてしまっていました。

小「他の出版社・・・某・・・某、ですね」

 裏サンデー編集者はみんなもともとWEB漫画をよく読まれていたそうで、例えば裏サンデーで「ケンガンアシュラ」を連載中のサンドロビッチ・ヤバ子先生が新都社に掲載している「求道の拳」、同じく裏サンデーで「ゼクレアトル」を連載していた戸塚たくす先生の「オーシャンまなぶ」、現在ヤングジャンプで「東京喰種(とうきょうぐーる)」を執筆されている石田スイ先生が”そとなみ”名義で新都社に掲載していた・・・ある卑猥なタイトルの漫画。そういった作品をきっかけにWEB漫画にはまった編集者3人が集まり、後から入ってきた1人を加えて4人で立ち上げたのが裏サンデー。初期構想ではWEB漫画作家だけのサイトを、仕事でなく趣味の課外活動でやろうというものだったとか。人手がないので作家さんにも企画会議や宣伝にも参加してもらい、一緒に作っていく。システムを作ってからそこに作家さんを呼ぶのではなく、システムごと作家さんと作っていくというのは新しいですね。もちろんONE先生も最初の企画会議に参加されてました。

O「例えばコメントシステムとかどうですか、というレジュメをもらって・・・
 やっぱり批判コメントとかもあると思うので嫌な方がいればやめとこうと思う、と。
 その時はみんなOKだったんですけど」

石「ONE先生は『受けて立ちますよ』って」
小「カッコイイ!!」

裏サンデー初期はONE先生の個人サイトを介したアクセスがかなり多かったんだとか。

石「裏サンデーはもともとONEさんのサイトだった、みたいな・・・だからManagaONEていう・・・」

小「MangaONEってそこから!?」
石「まぁそれは嘘ですけど(笑)それぐらい敬意を払っているということでやっております」

 伊勢先生は立ち上げ時は完全に読者の立場で、やはりONE先生のサイトから裏サンデーに飛んだ口なんだそう。石橋編集長曰く、ONE先生が裏サンデー立ち上げに携わった、まだ若いがいわば”伝説”の第1世代。伊勢ともか先生はその裏サンデーの連載投稿トーナメントで勝ち上がってきた、次代を担う”ルーキー”の第2世代。初回のゲストとしてこのお2方が選ばれたのは至極当然の事だったんですね。

 裏サンデーがスタートしてもう4年目。編集者も7人に増えました。しかし本来ならば20数人でやるところを7人で回しているためまだまだ人手不足なのは否めません。現在石橋編集長は現場を俯瞰で見つつ編集者を育てるため、担当編集からは少し離れて現場の仕事はそこまでやられていないそうです。編集者を育てる立場に回られているのは、編集者の仕事をそれだけ重要視していらっしゃるがため。石橋編集長が仰るには、編集者の能力と漫画家の能力は掛け算の関係になっていて、編集者の力が1なら100ある漫画家の力をそのまま発揮させられる。編集者=3なら3倍の能力を引き出せる。しかし編集者=0なら・・・漫画家の100の能力が全部ダメになってしまう。作家さんは勿論大切だけど、編集者の力も同じくらい大切なんだ、と。
 裏サンデーでは人手が足りないため、本来編集者が作家さんのもとに出向くところを、作家さんに出向いてもらっているのだそうです。打ち合わせは編集部の前の周囲が視える空間で、しかも他の作家さんと隣り合ったブースで行われているため、作家さん同士の仲がいいのだとか。他の作家さんだけでなく、担当以外の編集者とも会える環境を作ることで、アット・ホームな雰囲気を作っているんだとか。
小「裏サンデーに投稿するといいことしかないですね」
石「いいことしかないですねー」

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 話が盛り上がってしまい、トークテーマを4つ残しながらも残り時間は後わずか。という訳で、会場の皆さんに多数決を取り、聞きたいテーマを決めてもらいました。まずは「読者」、これは会場の殆どの人が挙手。続く「編集者」は全く手が挙がらず・・・

小「みなさん編集者には興味が無い」
石「もう十分話したでしょ(笑)」

「プロとアマ」
「読者」と同じぐらい多くの方が手を挙げました。最後の「ヒット」は少しだけ。という訳で、残り時間を使って「読者」「プロとアマ」についてトークをすることになりました。


 ではまず「読者」から。読者をどう意識しているかなどについて先生方がお話してくださいました。
「ワンパンマン」で一躍WEB漫画界の雄となったONE先生ですが、「ワンパンマン」を公開する迄は誰にも自分の書いた作品を見せたことがなく、ずっと部屋にこもって一人で漫画を書いていたと告白。勿論家族の方にもそれは内緒で、玄関を開けて階段を上がってくる足音がすると慌てて隠していたそうです。それを自分で読み返して「今回はまあまあだったな」「今回はそんなに面白くなかったな」と自己評価してそっと机にしまっていたとか。しかしいざホームページに作品をアップしたら、それについてメールで感想が送られてきたり、まるで普通の漫画の感想を友達と語り合うような感じで掲示板に沢山感想が書き込まれ、こういうのでも読んでくれる人達がいるんだ、と感動されたそうです。読者がいなければ、一人で漫画を書いていた時と同じように自分が満足したところでやめてしまったり、まだ完結していなくても自分は先のストーリーは分かってるし疲れたからもういいやと投げてしまっていたけど、こうやって感想をくれる読者たちのために書き続けようと思った。完全にアマチュアだった時代から、ONE先生は多くの読者に支えられていたんですね。
上記から分かる通りONE先生は元々漫画を書くのがお好きで、漫画家を目指しておられました。しかしその漫画家になりたいという理由はお金を稼ぎたいからというよりも、”漫画を好きなだけ書ける環境をずっと維持していくには”という観点に立って考えた結果だそうです。宝くじを当てて趣味で続けるか、漫画家になるしかないという2択で、それなら現実的に後者かな、と。
さて実際に商業誌で作品を連載し始めてから、初めて電子メールではない現物の”ファンレター”を受け取られたONE先生。WEBに書き込まれた感想を書いた人は確かにいるのだけれど、実態も素性もしれない、もしかしたら全部親かもしれない、なんて思われていたそうなんですが、実際にファンレターを受け取って初めてファンの存在を実感されたそうです。また、ファンレターを作家に送るという作業は意外と労力を使うもの。
ONE「読者を意識というか・・・感謝、ですね。」

伊勢先生の場合、デビュー作となった「懲役339年」がそもそも、裏サンデーで開催された「連載投稿トーナメント」で選ばれたもの。読者の投票によって1位になり、それでプロデビューへの道が拓かれたわけで、そういった意味ではONE先生より直接的に読者との因果関係が結ばれているとも言えます。伊勢先生曰く読者の反応は漫画を描くためのモチベーション。読んでもらえて嬉しい、こういってもらえて嬉しい。なので連載をはじめて1ヶ月くらいの間は、ずっとTwitterで”懲役339年”とエゴサーチをされていたそうです。

普通なら作家と読者の間には出版社が挟まっていたものを、極力なくしていこうというのも裏サンデー・MangaONEのコンセプトのひとつ。連載投稿トーナメントもその一環なんですね。

小「読者からすると、好きな作品の作者って神なんですよ。
 畏れ多いみたいな気持ち・・・」

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畏れ多そうに会釈を交わし合う伊勢・ONE両先生。

小「そういう好きな作者に頑張って、なんていうのも畏れ多い気持ちがあるんですけど、
 僕らの『頑張って』とか『面白かったです』という言葉は、思っている以上に作家さん
 たちに刺さって、力になっているというのはファンとしても嬉しく感じますね」



さていよいよ最後となってしまったトークテーマは「プロとアマ」。ゲストの方々が考える、プロフェッショナルとアマチュア、その違いとは?
小「せっかくなのでこれは石橋さんも含め3人に一言づつ
プロとアマの差はこれだ、というものを教えていただきたいんですが」

石「最初に簡単に言います。今の時代(漫画における)プロとアマの差は、
もうないかなと思ってますね。なくなった象徴として裏サンデー・MangaONE
を作ったっていう感じです」

O「ボクもほぼ一緒ですね。漫画の中身にプロとアマを見出せるようなものは
そんなにない気がします。アマチュア作品の中でもすごいクオリティのやつも
ありますし職業かどうかってぐらい・・・」

石「一個だけいわして!締め切りを守るのがプロ、守らないのがアマチュア!」
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小「(笑)大事!」

小「伊勢先生、プロとアマの違いを・・・」
伊「いま出てない話で言ったらお金しかないでしょう」
小「あーーー、その話!」
伊「汚い話に聞こえるけど、出るかでないかでは描いている側の意識は
 雲泥の差だし、責任感が生まれいいプレッシャーになる」

石「日本だとお金の話をすると汚いとする風潮があったけど、
 やっぱり生きていかないといけないし発展していかなきゃいけないから
 お金の話は全然汚くともなんともないですよね」

小「漫画を週刊で描くのってほんとうに大変なんですよ。
 一日何十時間と・・・」

伊「一日何十時間・・・?あ、すいません」
小「・・・一日何時間も大変な作業をしているひとが
 お金をもらえるのは当たり前だし、そういう人たが沢山もらえるからこそ
 目指す人が増える。そういう漫画家さん達をリスペクトできればなと」



全てのトークを終え、最後に告知。ONE先生の「モブサイコ100」第10巻、伊勢ともか先生の「懲役339年」最終巻第4巻。そして石橋編集長からもMangaONEについて、ここでは言えない大発表が今後あるとのことなので要チェックです。

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皆さんお疲れ様でした!


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